石垣解体の前に、その掘削範囲一帯で事前の発掘調査を行っています。また、石垣解体に着手した後にも、石垣裏の文化財調査を工事と並行して実施します。本丸東側の15面上段・下段石垣一帯を15面調査区、本丸西側の1〜3面石垣一帯を1面調査区、本丸南側の9面石垣一帯を9面調査区、天守台下に広がる中段広場(二の曲輪)一帯を7面下調査区と分けて文化財調査を行っています。
文化財調査で明らかになった内容は十分に検討して工事に反映させています。
15面調査区
南北9.8m、東西5.5mの櫓台の石垣や、石塁や控柱跡からなる塀の痕跡を確認しました。上段石垣下の犬走りでは、石組溝等の排水施設や、瓦を一括廃棄した様子が明らかになりました。石垣解体時には、唐津城で初めて金箔瓦片が出土しました。肥前名護屋城から出土した軒瓦と、同笵または同タイプの軒瓦も出土しており、唐津城築城には肥前名護屋城と深い関係があることが明らかになりました。
1面調査区
南北9.5m、東西7.5mの櫓台の石垣や、石塁や石段、控柱跡からなる塀の痕跡を確認しました。現在見られる石垣に埋められた古い石垣(旧石垣)の一部も見つかっています。石垣解体時には、まじないの文字や記号を墨書した2枚の土師器皿が合わせ口の状態で見つかりました。江戸時代に行われた石垣積み直しの際の地鎮の痕跡と思われます。また、2面石垣裾に並行に延びる石組溝の状況も明らかになりました。
9面調査区
南北6.8m、東西10.2mの櫓台(付櫓)の石垣や、石塁や石段からなる塀の痕跡を確認しました。石垣解体時には、石垣裏から江戸時代初期の陶磁器等が出土しています。現在見られる石垣に埋められた古い石垣(旧石垣)の一部も見つかっています。旧石垣は天守台の方へ延びており、唐津城築城当初の本丸系形状が現在とは異なっていたことが明らかになりました。
7面調査区
二の曲輪の地中から、古い石垣(旧石垣)が見つかりました。石垣石材やその積み方から、構築年代の下限が慶長年間(1596〜1615)前半と考えられ、唐津城最古の石垣の発見となりました。さらに旧石垣裏の盛土から、金箔瓦片が4点出土しました。このことから、慶長七年(1602)に始まる唐津城築城以前に、豊臣政権によって何らかの拠点が満島山に築かれていた可能性を示す、重要な発見となりました。
■現地説明会資料
○
平成21年度
・・・
15面調査区現地説明会資料
【H21.6.28】
(1.84MB)
○
平成22年度
・・・
1面・9面調査区現地説明会資料
【H22.10.3】
2.58MB)
○
平成23年度
・・・
1面・9面調査区現地説明会資料
【H23.6.26】
3.80MB)
・・・
9面調査区現地説明会資料
【H23.8.28】
1.16MB)
・・・
7面下・1面調査区現地説明会資料
【H23.10.30】
3.72MB)
○
平成26年度
・・・
唐津城跡現場説明会
【H26.1.19】
2.25MB)
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